
ぶどう栽培もいよいよ果粒肥大期に入り、房の形が見えてくる時期となりました。
この時期の管理作業の中でも、収穫時の品質を大きく左右するのが「摘粒作業」です。
しかし摘粒を行う前に、まず決めなければならないのが今年の最終着房数です。
うちベジでは、栽培本に記載されていた「目標果房重600g・10aあたり1800kg」という基準を参考に、自宅の栽培面積へ換算して着果量を決定しました。
今回は、最終房数の考え方と、600g房を目指した摘粒作業の内容について記録しておきたいと思います。
今年の最終房数
栽培本には、目標果房重600g、10aあたり1800kgを目安とする記載がありました。
これを面積あたりで換算すると、1㎡あたり約1.8kgとなります。
うちベジの栽培面積へ当てはめると、次のような目安になります。
| 品種 | 栽培面積 | 目安房数 | 最終房数 |
| シャインマスカット | 6m×2m | 約36房 | 40房 |
| BKシードレス | 6.7m×2m | 約40房 | 45房 |
| ヌーベルローズ | 4m×2m | 約24房 | 20房 |
| クイーンセブン | 3m×2m | 約18房 | 4房 |
シャインマスカットとBKシードレスは樹形がほぼ完成しており、主枝から2本の新梢を伸ばす管理を行うことで葉面積を確保しています。
そのため今年は目安房数よりやや多めに着果させ、糖度や果粒肥大への影響を確認しながら、うちベジに適した着果量を見極めたいと考えています。
ただし若木では地上部の生育が旺盛に見えても、地下部の根はまだ十分に発達していません。
着果過多は、
・根の発達停滞
・翌年の発芽不良
・樹勢低下
などにつながる可能性があります。
そのため最終房数という目標は設定していますが、今後の果粒肥大や樹勢を見ながら、必要に応じて摘房を行うかもしれません。
一方、ヌーベルローズとクイーンセブンはまだ樹形育成中です。
ヌーベルローズは植栽2年目で延長枝を伸ばしている段階のため、目安より少ない20房としました。
クイーンセブンも同じく2年目ですが、鉢植えということもあり、今年は自然に4房のみの着果となりました。
※前回の作業記事はこちらから
2回目ジベレリン処理を実施|シャインマスカット・BKシードレス・ヌーベルローズ・クイーンセブンの|1回目から12日後の管理記録
今年の摘粒方針

昨年の栽培では、果粒肥大にやや物足りなさを感じました。
そこで今年は、
・軸長8cm
・着粒数40粒前後
を目標に設定しました。
最終的には600g程度の房に仕上がることを期待しています。
房重だけを追うのではなく、
「大粒で見栄えが良く、食べ応えのある房」
を目標に管理していきます。
※開花始期の果穂整形記事はこちらから
1回目の果穂整形|家庭菜園で試している整形と長さの目安
2回目の果穂整形|うちベジぶどうを“房尻4cm”で管理する理由
軸長調整について

まず最初に行ったのは軸長調整です。
花穂整形時には4cm程度に整えていましたが、開花後の穂軸は大きく伸長しています。
そのため摘粒作業の前に、まず軸長を確認しながら不要な支梗を整理していきました。

軸長を短くしたい場合、房尻を切って調整する方法もあります。
しかし私は房尻を切らず、上部の支梗を切り下げる方法を選んでいます。
房尻を切ってしまうと、完成時の房型が寸詰まりになりやすく、房全体のバランスが崩れることがあるためです。
また肩部分についても左右の高さを揃えるよう意識しました。
肩の高さが揃うだけで完成時の見栄えは大きく向上すると考えています。
摘粒前に行った摘房作業
次に、最終的な着果量に合わせるため摘房を行いました。
摘房とは、不要な房そのものを取り除く作業です。房数を適正に調整することで、残した房へ養分を集中させ、果粒肥大や品質向上につなげることができます。
うちベジでは結実状態が確認できるようになってから、
・着粒数の少ない房
・房形の悪い房
・肥大の悪い房
を優先的に取り除いてきました。
しかし、それでも算出した目標房数より多く着果していたため、数房を摘房しました。
摘房する際は、今後の肥大が期待できそうな房を残しながら、樹全体のバランスを見て判断しています。多少もったいなく感じますが、最終的に品質の良いブドウを収穫するためには大切な作業だと考えています。

シャインマスカットは3房摘房しました。
左端の房を計測したところ、軸長7cm・34粒でした。目標の600g房を考えると、粒肥大が順調に進めば十分収穫対象になりそうな房です。ただ、他の房と比較すると肥大の勢いがやや弱く感じられたため、今回は摘房して残した房へ養分を集中させることにしました。

ヌーベルローズも3房摘房しました。
こちらはまだ摘粒前の房であるため、着粒数はかなり多い状態です。
ヌーベルローズは今年初めて着果したので、現時点では適正な着粒数がどの程度なのか手探りです。そのため、まずは肥大の遅い粒や房の内側に入り込んでいる粒を中心に摘粒し、房の形を整えながら様子を見る予定です。
最終的には果粒の肥大状況を確認しながら、目標とする房の大きさに合わせて着粒数を調整していきたいと考えています。
BKシードレスは6房摘房しました。

写真の房は摘粒を行っておらず、花ふるいによって自然に果粒が整理された状態です。
ただし、房の裏側に果粒がほとんど付いていないものや、棚面・枝などに接触して今後の管理や肥大に支障が出そうなものについては摘房を行いました。
クイーンセブンは摘房なしです。
※今回は最終的な房選びでしたが、前段階である程度房選びをしています。
開花からジベレリン処理期のぶどう管理|花ふるいを加味した着粒確認・房選び
摘粒の役割
さて、ようやく摘粒を行う準備が整いました。
摘粒は、単に粒数を減らすための作業ではありません。
最終的な房の大きさや粒の大きさ、房形はもちろん、糖度や樹勢にも影響する重要な管理作業です。
ブドウ栽培では、
・花穂整形
・ジベレリン処理
・摘房
・摘粒
・袋掛け
など、収穫までにさまざまな管理作業を行います。
その中でも摘粒は、収穫時の房の完成度を大きく左右する作業といえるでしょう。
どれだけ花穂整形やジベレリン処理がうまくいっても、摘粒が不十分だと粒同士が混み合い、房形が乱れたり、果粒同士が押し合って変形したりすることがあります。
反対に、適切な摘粒を行えば粒同士に適度な間隔が生まれ、形の整った美しい房に仕上がります。
また、風通しや薬剤のかかりも良くなるため、病害の予防や品質向上にもつながります。
収穫時に「きれいな房だな」と思えるかどうかは、この時期の摘粒作業にかかっているといっても過言ではありません。
600g房の目安

シャインマスカットで600g程度の房を目指す場合、
・軸長7〜8cm
・着粒数35〜40粒程度
が一つの目安になると考えています。
上の写真でいうと少し粒数少なめですが、大体このイメージで房を作る形となります。
もちろん樹勢や栽培環境によって適正値は変わります。
しかし家庭栽培で大粒かつ見栄えの良い房を目指すのであれば、このあたりが管理しやすい数字ではないでしょうか。
粒数を多く残せば、一見すると大房になりそうに見えます。
しかし実際には果粒同士が養分を奪い合い、一粒あたりの肥大が不足することがあります。
その結果、
「粒数は多いのに房重が思ったほど増えない」
という状態になることもあります。
一方で粒数を適度に絞ることで、一粒一粒へ養分が集中しやすくなります。
見栄えの良い大粒房を作るためには、粒数を欲張りすぎないことも大切だと感じています。
品種ごとの考え方
今回紹介している軸長や粒数の目安は、あくまでシャインマスカットの場合です。
ブドウは品種ごとに果粒サイズが大きく異なります。
例えば、
・BKシードレス
・ヌーベルローズ
・クイーンセブン
などは、それぞれ完成時の粒の大きさが異なります。
当然ながら適正な着粒数も変わります。
そのため他品種では、
・目標房重
・果粒サイズ
・樹勢
を考慮しながら、軸長と粒数の組み合わせを探っていく必要があります。
家庭栽培では栽培環境もそれぞれ違うため、自分の樹に合った管理方法を見つけていくことが大切です。
※うちベジでは4品種の栽培をしています。
【ぶどう栽培のはじまり】|子どもの頃の夢から始まったおうちぶどう栽培
着粒数40粒を目安に調整
今年のシャインマスカットの着粒数40粒前後を目標としました。
摘粒では単純に粒数を減らすのではなく、どの粒を残すかが重要になります。
私が優先的に残したのは、
・果梗が太い粒
・傷のない粒
・肥大が期待できそうな粒
です。
逆に、
・小さい粒
・変形した粒
・向きの悪い粒
は優先的に取り除いていきました。
現時点では小さな差に見えても、収穫時には粒の大きさや揃い方に違いが出てくることがあります。
摘粒は不要な粒を抜く作業というよりも、将来有望な粒を選び抜く作業に近いのかもしれません。
内玉は積極的に除去する
摘粒で最も重要だと感じているのが内玉の除去です。
内玉とは、房の内側へ向かって付いている果粒のことです。
こうした粒を残したまま肥大期を迎えると、房の内部へ潜り込むように大きくなります。
すると、
・果粒同士の圧迫
・変形果の発生
・裂果の原因
になることがあります。
さらに房内部は風通しも悪くなるため、管理面でも好ましくありません。
摘粒中は現在の粒の大きさではなく、収穫時の姿を想像しながら作業しています。
今は隙間が多く見えても、収穫前には驚くほど房が詰まってきます。
そのため「少し取り過ぎたかな」と感じるくらいが、結果的にはちょうど良いことも少なくありません。
摘粒の前後
内側に入り込んでいる粒や果粒の小さいものを優先的に取り除き、その後全体のバランスを確認しながら、粒同士の間に適度なすき間ができるよう調整しました。




BKシードレスは、花ふるいによる摘粒作業の省力化がメリットの品種です。うちベジでも基本的には摘粒を行わず管理しています。ただし今年は一部の房で着粒過多が見られたため、その房のみ軽く摘粒を行いました。

ヌーベルローズは果粒が小さく密集しているため、摘粒作業そのものが難しい品種です。また、まだ適正な着粒数や房づくりの感覚がつかめていないため、今回は様子を見る意味も込めて、やや多めに粒を残しました。



クイーンセブンも果粒が小さく密集しています。
今回は摘粒するほど実が付かなかったので、小さい実を取り除きました。まだ適正な着粒数や房づくりの感覚がつかめていないため、今回は様子を見る意味も込めて、やや多めに粒を残しました。


着粒過多について

穂軸が長く伸び、多くの粒が付いた房は一見すると立派に見えます。
しかし実際には果粒同士が養分を競合しています。
ブドウの葉が作り出せる養分には限界があります。
そのため粒数が多すぎると、一粒あたりへ分配される養分が不足しやすくなります。
結果として、
・粒が大きくならない
・糖度が上がりにくい
・房の充実が悪くなる
といった問題が発生します。
特にシャインマスカットは大粒であることが大きな魅力です。
適正な粒数へ調整する意味は非常に大きいと感じています。
ブルームを落とさないように作業する

上の写真の赤丸部分が果粉(ブルーム)を落とした部分です。
果粉(ブルーム)を落とすと光沢が出てくるので、摘粒時にはこの果粉(ブルーム)を落とさないように注意することが大切です。
ブルームとは果実表面を覆う天然の保護膜です。
病気や乾燥から果実を守る役割があり、見た目の美しさにも大きく関わります。
作業中は果粒を直接つままず、できるだけ穂軸を持つようにしています。
また支梗を切った際の切り残し、いわゆる「ツノ」もできるだけ残さないよう心掛けています。
ツノが残ると完成時の見た目が雑然とした印象になるためです。
摘粒は粒数を減らすだけでなく、収穫時の美観を整える作業でもあると感じています。
摘粒は早いほど有利
穂軸は満開後15日頃まで伸長するとされています。
うちベジでは1回目ジベレリン処理を5月18日頃から開始したため、6月上旬には穂軸の伸長がほぼ落ち着くと考えました。
そのため今年は遅くとも6月15日までに、
・軸長調整
・摘粒
を終えることを目標に進めました。
摘粒は遅くなるほど難易度が上がります。
摘粒が遅れるデメリット
摘粒が遅れると果粒同士が接触し始めます。
すると、
・ハサミが入りにくい
・作業効率が落ちる
・ハサミ傷が増える
・ブルームが落ちやすい
といった問題が発生します。
さらに不要な粒にも養分が供給され続けるため、養分競合の期間が長くなります。
その結果、本来残したかった粒への養分供給が遅れる可能性もあります。
実際に作業していても、数日違うだけで作業のしやすさは大きく変わります。
果粒が小さいうちに終わらせた方が、結果的に作業時間も短く済み、房の仕上がりも良くなるように感じています。
まとめ
摘粒は、収穫時の品質を左右する最重要作業の一つです。
今年のうちベジでは、
・目標房重600g
・軸長8cm
・着粒数40粒前後(シャインマスカット)
を目安として管理を行いました。
また栽培本の目安である10a当たり1800kgを参考に、栽培面積から逆算して最終着房数を決定しました。
昨年は果粒肥大に少し課題が残ったため、今年は房重よりも粒の充実を意識しながら管理を進めています。
摘粒は地味で時間のかかる作業ですが、その一粒一粒の選択が秋の収穫につながります。
今年は目安房数よりやや多めの着果量で管理しているため、糖度や果粒肥大への影響も含めて検証していく予定です。
果粒肥大や糖度がどのような結果になるのか、収穫後に改めて記録したいと思います。
家庭栽培だからこそできる試行錯誤を楽しみながら、引き続き管理を続けていきたいと思います。
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