2026年7月3日(晴れ)

※うちベジの年間防除スケジュールはこちらから
家庭菜園ブドウの防除暦|初心者でもできる年間病害虫対策
前回、ベトファイター顆粒水和剤とジマンダイセン水和剤を混用散布してから約20日が経過しました。
その後も様子を確認していましたが、ベト病や褐斑病と思われる症状の拡大は見られず、新たな病斑もほとんど確認できていません。
果粒も順調に肥大し、いよいよ袋掛けを行う時期となりました。
ぶどう栽培では袋掛けを行うと、その後は房全体へ薬剤が届きにくくなります。そのため袋掛け直前の防除は非常に重要な作業です。
今回は袋掛け前の最終防除として、
- オンリーワンフロアブル
- ディアナWDG
を混用散布しました。
この記事では今回使用した薬剤の特徴や混用方法、実際の作り方、散布時に意識しているポイントについて紹介します。
※前回行った防除の紹介はこちらから
ベト病再発か?ベトファイターとジマンダイセンで梅雨前防除
袋掛け前の防除
袋掛けには多くのメリットがあります。
- 病気の発生を抑える
- 虫害を軽減する
- 農薬の付着を減らす
- 果面をきれいに保つ
- 鳥害を軽減する
など、収穫品質を向上させる重要な作業です。

しかし袋を掛けてしまうと、房の内部へ薬剤を十分に届けることが難しくなります。
そのため袋掛け前に病害虫をしっかり抑えておくことが大切です。
特に梅雨時期は、
- ベト病
- 褐斑病
- 晩腐病
- アザミウマ類
- コガネムシ類
- シンクイムシ類
などが発生しやすくなります。
袋掛け前の防除は、収穫までの管理を楽にする意味でも重要な作業だと考えています。
使用した薬剤
袋掛け前に重要となってくることが、希釈倍率と使用時期となります。希釈倍率が低いと果面に汚れが出てしまったり、種類によっては果粉(ブルーム)の溶脱の可能性が出てきます。そのため、なるべく希釈倍率の高いものや、注意書きに溶脱の記載がないもの又は果粉(ブルーム)溶脱の少ない薬剤を選択するように気を付けています。
あと、特に重要なことが、使用時期です。この時期は収穫時期が早いもので1カ月後には控えてくる品種もありますので、使用時期が45日前等、比較的長い期間必要な薬だと、収穫時期に収穫できないといった状況になる可能性があります。
オンリーワンフロアブル

今回の病害対策として使用したのがオンリーワンフロアブルです。
オンリーワンフロアブルは浸透移行性を持つ殺菌剤で、散布後に葉内へ浸透して効果を発揮します。予防効果を主体としながら、感染初期の病原菌に対しても効果が期待できる薬剤です。
梅雨時期は降雨が多く病気が発生しやすいため、予防だけでなく治療効果も期待できる薬剤は非常に心強い存在です。
特に病気の発生が心配な年や、過去に病害が発生した場所では有効な選択肢の一つだと思います。
※2026年5月30日にもオンリーワンフロアブルを散布しています。
雨よけブドウでも病害発生?褐斑病を疑いオンリーワンフロアブルで対策
ディアナWDG

害虫対策として使用したのがディアナWDGです。
ディアナWDGは、アザミウマ類やチョウ目害虫などに高い効果を示す殺虫剤です。
ぶどう栽培では、
- アザミウマ類
- シンクイムシ類
- ハマキムシ類
などの被害が問題になることがあります。
特に果粒が肥大する時期に害虫被害を受けると、果実に傷が付いたり品質が低下したりする原因となるため、袋掛け前にしっかり防除しておくことが重要です。
一方で、ディアナWDGは家庭栽培ではやや扱いにくい面もあります。100g入りで価格は約6,000円(2026年7月時点)と比較的高価なうえ、希釈倍率が5,000~10,000倍と高いため、一度に使用する量はごくわずかです。そのため、家庭菜園や少量栽培では有効期限内に使い切ることが難しい点がデメリットといえるでしょう。
また、ディアナには「ディアナWDG」と「ディアナSC」の2種類がありますが、ブドウに登録があるのはディアナWDGです。ディアナSCはブドウには使用できないため、購入や使用の際は必ず適用作物を確認し、間違いのないよう注意しましょう。
混用について

今回はオンリーワンフロアブルとディアナWDGを混用して散布しました。
家庭栽培では散布回数を減らしたいことも多いため、病害対策と害虫対策を同時に行える混用は非常に便利です。
ただし農薬の混用については、必ずラベルやメーカー情報を確認したうえで実施する必要があります。
農薬によっては混用できない組み合わせもあり、
- 薬害
- 沈殿
- 分離
- 効果低下
などが発生する場合があります。
そのため、念のためメーカに問い合わせを行い混用可能の回答を得ることができました。
Q:オンリーワンフロアブル(2000倍)とディアナWDG(5000倍)」のブドウでの混用散布は可能か?
A:弊社の混用薬害確認試験結果では「オンリーワンフロアブル(2000倍)とディアナWDG(5000倍)」のブドウでの混用は可能となります。
Q:果粒肥大時期なので果粉(ブルーム)溶脱や効果等といった点が気になります。
A: オンリーワンフロアブルは果粉溶脱が少ない剤ではございますが、散布は小豆大までに行っていただきますようお願いいたします。大豆大以降の場合、果粉溶脱の可能性がございますので、ご留意いただけますと幸いです。
質問から回答まで1営業日内に返答があり、レスポンスの速さに驚きました。
さらに、もう片方のメーカにも同様の問い合わせを行いました。
Q:ディアナWDG(5000倍)とオンリーワンフロアブル(2000倍)を混用して散布は可能でしょうか? また、果粒肥大時期なので果粉(ブルーム)溶脱や効果等といった点が気になりました。つきましては、混用薬害確認試験結果を教えていただけますでしょうか?
A:ぶどうでディアナWDG(5000倍)とオンリーワンフロアブル(2000倍)を混用した事例はあり、散布液の物性及び薬害面(汚れや果粉溶脱も含む)での問題はありませんでした。これらの試験には、散布時期が巨峰の大豆大期の散布試験も含まれています。
しかしながら、これらはあくまで限られた品種・条件下での試験事例であり、混用性に問題が無いことを保証するものではありませんので、あらかじめご了承ください。まず、お客様ご自身で小規模に散布して問題が無いかご確認いただいたうえで混用してくださいますようお願い申し上げます。
また、ぶどうの大豆大期以降では、単用であっても果粉の溶脱が起こりやすいのでご注意ください。
なお、混用試験では、原則として混合希釈液の物性(沈澱・分離などの異常が生じないか等)と薬害の発生について調査しておりますので、効果への影響については明確に申し上げられません。何卒ご了承ください。
こちらの回答も2営業日くらいでレスポンスがあり好感が持てました。
今回問い合わせた範囲では、両メーカーともオンリーワンフロアブルとディアナWDGの混用について問題ないとの回答でした。
一方で、両メーカーとも大豆大期以降は果粉(ブルーム)溶脱の可能性があると案内しています。
本来であれば果粉への影響を考慮して散布を控えたい時期ではありますが、今回は病害の発生リスクを優先し、果粉溶脱の可能性を理解したうえで自己責任にて混用散布を行いました。
※他の混用散布に関する記事はこちらから。
ベト病再発か?ベトファイターとジマンダイセンで梅雨前防除
希釈倍率と作り方
今回は2Lの薬液を2回を作りました。
家庭菜園では10Lや20Lも必要ないことが多いため、計4L程度散布となりました
必要以上に薬液を作ると余ってしまうため、散布面積に合わせて作ることも大切です。
実際の作り方(2Lの場合)
複数の薬剤を混ぜる場合は、一般的に溶けやすいものから順番に投入するとトラブルが少なくなります。
混用の基本順序
- 展着剤
- 液剤・水溶剤
- 乳剤
- フロアブル剤
- 顆粒水和剤
- 水和剤
今回使用した薬剤では、
- オンリーワンフロアブル → フロアブル剤
- ディアナWDG → 顆粒水和剤
となるため、オンリーワンフロアブルを先に投入しました。
各薬剤の2L当たりの量は以下の通りです。
オンリーワンフロアブルは溶液なので、シリンジを使用しました。
ディアナWDGは少量となるため、0.01gで計測可能なデジタルスケールを使用しました。
| 薬剤名 | 希釈倍率 | 2L当たり |
| オンリーワンフロアブル | 2000倍 | 1ml |
| ディアナWDG | 5000倍 | 0.4g |
① 水を2L入れる
最初に計量した水を容器へ入れます。
薬剤を先に入れると均一に混ざりにくくなるため、必ず水を先に入れます。
② オンリーワンフロアブルを投入

規定量のオンリーワンフロアブルを加えます。
フロアブル剤は液体状のため扱いやすく、水へ入れると比較的スムーズに分散していきます。
長めの棒を使って、十分に混ぜました。
③ ディアナWDGを投入

オンリーワンフロアブルが十分混ざったことを確認してからディアナWDGを投入します。
ディアナWDGは比較的溶けやすい印象ですが、時間が経つと沈殿しやすいため注意が必要です。
ダマにならないよう少しずつ加えながら攪拌しました。
④ 噴霧器へ移す
薬液が均一になったことを確認してから蓄圧式噴霧器へ移します。
今回は溶け残りや沈殿もほとんどなく、問題なく薬液を作ることができました。
散布中も時々噴霧器を軽く振り、薬液が均一な状態を保つようにしています。
今回は合計4L作るため、同じ工程を2回行いました。
散布時の様子

オンリーワンフロアブルとディアナについて、散布後に植物の葉などから有効成分が吸収され、体内を移動(浸透移行)して全体に均等に行き渡るため、散布ムラができにくく高い防除効果を発揮するものの、有効成分が葉裏まで十分に浸達しない可能性も考えられることから、防除を確実に行うためには薬剤が葉裏にも十分かかるようにていねいな散布を行いました。
① 葉裏までしっかり散布する
② 房全体へ均一に付着させる
③ 滴る直前まで十分量を散布する

今回、果粉(ブルーム)溶脱の可能性があるとは言うものの、どの程度果粉(ブルーム)が落ちるのかも確認するため、あえて房近くから全体に散布を施してみました。
翌日、2026年7月4日の様子

房全体に薬液がしたたり落ちる程度までしっかり散布しましたが、散布後に果面の汚れが増えるような様子は見られませんでした。また、シャインマスカット、ヌーベルローズ、クイーンセブンについては、果粉(ブルーム)が溶脱しているかどうか判別できない結果となりました。
※果面にうっすら見える白い汚れは、前回のジマンダイセン水和剤とベトファイター顆粒水和剤を混用散布した際に付着したものです。今回は、この汚れを洗い流すことも意識して十分な量の薬液を散布しましたが、付着した汚れを落とすことはできませんでした。

一方、BKシードレスでは、果粉(ブルーム)が溶脱したと思われる跡がいくつか確認されました。
摘粒作業で果面に触れたことにより果粉(ブルーム)が取れている部分とは別に、接触していないと思われる箇所でも果粉(ブルーム)が薄くなっているように見受けられました。そのため、今回の散布による影響を受けた可能性も考えられます。
ただし、今回の結果は目視による観察であり、果粉(ブルーム)の溶脱を断定できるものではありません。また、シャインマスカットやヌーベルローズ、クイーンセブンについても、目視では確認できない程度のわずかな溶脱が生じていた可能性は否定できません。
そのため、来年以降は果房から50cm程度離し、薬液がやさしく全体にかかるようなイメージで散布してみようと考えています。果粉(ブルーム)への影響をできるだけ抑えながら、十分な防除効果が得られる散布方法を引き続き検証していきたいと思います。
※混用散布は特に気を付ける必要があります。前回ジマンダイセンとベトファイター混用散布では、果面に溶液の跡がついてしましました。ベト病再発か?ベトファイターとジマンダイセンで梅雨前防除
まとめ
今回は、袋掛け前の防除としてオンリーワンフロアブルとディアナWDGを混用散布しました。
今回の防除で感じたポイントは次のとおりです。
- 袋掛け前の防除は、その後の病害虫の発生を抑えるためにも非常に重要
- 果粉(ブルーム)への影響が気になる場合は、事前にメーカーへ確認しておくと安心
- 葉裏や果房全体まで薬液がしっかり付着するよう丁寧に散布する
- 袋掛け前に病害虫をできるだけ抑えておくことが、その後の管理を楽にする
今回の散布では、果面の汚れや薬害の発生は見られませんでした。一方で、果粉(ブルーム)への影響については、品種によって差がある可能性も感じられました。今後も様子をよく観察しながら、その年の気象条件や病害虫の発生状況に合わせて適切な防除を行っていきたいと思います。
次回はいよいよ袋掛けの様子をご紹介します。袋掛けの方法や実際に感じたポイントなどもあわせてお伝えする予定ですので、ぜひご覧ください。
※うちベジでは4種類のブドウを育てています。ぶどうを育てるきっかけの紹介はこちらから。
【ぶどう栽培のはじまり】|子どもの頃の夢から始まったおうちぶどう栽培

