2026年5月18日~5月26日

昨年収穫したシャインマスカット。
見た目はかなりきれいに仕上がっていました。
粒も揃い、色もよく、初なりとしては十分満足できる出来でした。
ですが食べてみると、
👉 “ガリッ”
種無しのはずなのに、一部の粒に種が残っていました。
ほんの数粒だったのですが、シャインマスカットは皮ごと食べる品種だからこそ、その違和感がかなり強く印象に残ります。
もちろん家庭菜園としては十分うれしい収穫です。
ですが、だからこそ、
👉 「もっと完全種無しに近づけたい」
という気持ちも強くなりました。
そこで今年は、まず開花前にアグレプト液剤を使用し、“受精しにくい状態”を作ることにしました。
そして今回、その後の流れとして、
👉 1回目ジベレリン処理+フルメット加用
を行っています。
今回は、
- なぜアグレプト液剤を使ったのか
- その後なぜジベ処理が必要なのか
- フルメットを加用した理由
- 実際の処理方法
- 処理時に意識したこと
を、家庭菜園での実例としてまとめていきます。
※うちベジで栽培している品種紹介はこちらから
【ぶどう栽培のはじまり】|子どもの頃の夢から始まったおうちぶどう栽培
開花前のアグレプト処理

今年最初に行ったのが、アグレプト液剤による花房浸漬と花房散布です。
アグレプト液剤は本来、細菌病防除に使用される薬剤ですが、ぶどうでは無種子化補助として利用されることがあります。
今回の目的はとてもシンプルで、
👉 「そもそも受精しにくい状態を作ること」
です。
ぶどうは、
- 花が咲く
- 花粉が付く
- 受精する
- 種ができる
という流れで種が形成されます。
つまり、
👉 受精が成立すると種ができる
ということになります。
そのため今年は、
👉 開花前にストレプトマイシン処理を行い、受精そのものを抑えにいく
という方法を取り入れてみました。
昨年は通常のジベレリン処理だけで管理しましたが、それでも一部に種が残りました。
だから今年は、
👉 「ジベ処理だけに頼らない」
という方向で、一歩踏み込んだ管理をしています。
※アグレプト液剤の記事はこちらから
シャインマスカットを完全種無しに近づける|ストレプトマイシン処理の適期と具体的なやり方
役割の違い
ここがかなり重要なポイントです。
ストレプトマイシン処理を行うと、
「じゃあジベレリン処理はいらないの?」
と思うかもしれません。
ですが実際はそうではありません。
アグレプト液剤は、
👉 「受精を起こりにくくする処理」
になります。
一方でジベレリン処理は、
👉 「種無し果として果粒を成長させる処理」
になります。
つまり、それぞれ役割が違います。
今回の流れとしては、
開花14日前〜開花始期
↓
アグレプト液剤処理
↓
受精しにくい状態を作る
↓
満開期〜3日後まで
↓
1回目ジベレリン処理
↓
無核果として果粒を肥大・着粒させる
という流れになります。
そのため、
👉 アグレプト液剤+ジベレリン処理
を組み合わせることで、より完全種無しへ近づけていくイメージになります。
使用したジベレリン錠剤

今回使用したジベレリンは、住友ジベレリン錠剤です。
1箱8錠入りで1700円ほど。
有効期限も5年ほどあり、家庭菜園でも扱いやすい印象があります。
錠剤タイプなので、
👉 水1Lに1錠で25ppm
にできるのがかなり便利です。

説明書の使用上の注意を参照すると、
- 2倍体欧州系品種 → シャインマスカット
- 3倍体品種 → BKシードレス
と記載があります。
ヌーベルローズとクイーンセブンは記載がありませんでしたが、
- ヌーベルローズ → 欧州種に近い2倍体欧米雑種
- クイーンセブン → 2倍体欧州系品種
との情報があり、どちらも2倍体品種と判断しました。
BKシードレスは3倍体で、推奨されている希釈倍率にやや幅があります。
ただ、今回使用する25ppmは2倍体欧州系品種の使用範囲内にも収まっているため、
👉 うちベジでは全品種同じ希釈倍率で処理
することにしています。
使用上の注意

説明書にはいろいろ記載がありますが、特に印象に残ったのは次の部分です。
- 着粒過多による品質低下のおそれ
- 果梗硬化による脱粒リスク
- 使用時期や濃度を誤ると花振い・有核果混入のおそれ
- 無種子化処理では花蕾全体へ丁寧に薬液を付着させること
- ストレプトマイシン剤との併用で無核果率向上が期待できる
など。
やはり説明書はしっかり読み込んで処理することが大切だと感じます。
処理期の果穂状態
現在の状態としては、
- 開花始期〜満開1〜2日後
- 花冠がほぼ落ちた状態
の果穂が増えてきています。
1回目ジベ処理は、
👉 種無し化を左右する最重要作業
と言ってもいいくらい重要です。
処理が早すぎると、
- 穂軸湾曲
- 花振い
- 果粒肥大不足
などにつながることがあります。
逆に遅すぎると、
- 花振い
- 種残り
などにつながる場合があります。
特にシャインマスカットは、
- 房ごとの開花差
- 樹勢差
- 気温差
の影響を受けやすく、処理適期の見極めがかなり難しいと感じています。
フルメット液について

今回は1回目ジベレリン処理に、フルメット液剤も加用しています。
フルメット説明書を参照すると、ホルクロルフェニュロンは細胞分裂を促進し、細胞数を増やすサイトカイニン様活性を示すとあります。
主な目的としては、
- 肥大促進
- 着果促進
などです。
シャインマスカットでは比較的よく使われる薬剤で、
👉 「粒をしっかり大きくしたい」
ときに使用される印象があります。
今年は、
👉 種無し精度だけでなく、見た目の完成度も高めたい
という思いもあり、フルメットを加用してみました。
ただ、10mlで1760円(税込)と少々お高めなので、家庭菜園で使うには少し勇気がいります。
使用した濃度


うちベジでは、
- シャインマスカット
- クインセブン
- BKシードレス
- ヌーベルローズ
に対して、
1回目

- ジベレリン:25ppm
- フルメット:5ppm
5月18日~21日→シャインマスカットとクイーンセブンを処理
5月23日~26日→BKシードレスとヌーベルローズを処理
2回目

- ジベレリン:25ppm
で処理します(予定)
2回目にフルメットを加用しない理由としては、
- 糖度上昇が遅れる可能性
- 食味への影響
などを考慮しています。
……というのもありますが、
👉 正直、値段が高い
というのも大きいです。
満開期は房ごとにズレがあるため、溶液を2回は作ります。
本来なら毎回新しく作りたいところですが、予算の都合もあり、4日間は冷蔵保存しながら使い回して対応しています。
処理前に行ったこと

ジベ処理前には、果穂整形も進めています。
今回事前に行ったのは、
- 穂軸長調整
- 不要部分除去
- 房形調整
です。
理由はシンプルで、
👉 ジベ処理後は房を触りにくくなる
からです。
処理後に強く触ると、
- 果粒脱落
- 軸傷み
- 着粒不良
につながる可能性があります。
そのため、できるだけ形を整えた状態で処理へ入りました。
※うちベジでは果穂整形を2回に分けて実施しています。記事はこちらから。
1回目の果穂整形|家庭菜園で試している整形と長さの目安
2回目の果穂整形|うちベジぶどうを“房尻4cm”で管理する理由
ジベレリン溶液の作り方

準備するものは、
・計量カップ
・シリンジ
・ジベレリン処理を行う容器
・ジベレリン錠剤
・フルメット液剤

水1Lを準備

ジベレリン1錠を投入。気泡をあげながら少しずつ溶けていきます。

錠剤が溶けたあと、よくかき混ぜます。

シリンジでフルメット5mlを計ります。
この時、貴重なお薬がこぼれないように細心の注意を払います。

再度よくかき混ぜます。

ジベレリン処理を行う容器に必要量(500ml)を移し、残った溶液(500ml)はペットボトルに入れて冷蔵保存します。
ただし、説明書には
「使用にあたっては、その都度溶解調製することが望ましい。溶解後放置すると効力が低下する場合があるので、なるべく調製当日に使い切ること」
と注意事項が記載されています。
ジベレリンもフルメットも安価な資材ではないため、今回は自己責任のもと、溶解後は冷蔵保存し、4日以内を目安に使用するルールで運用することにしました。
また、ジベレリン処理中は、溶液内に花冠やおしべなどが混入し、細菌等が繁殖する可能性も考えられます。
そのため、2日間は同じ溶液を使用していますが、残りの2日間については、あらかじめペットボトルへ移して保存しておいた溶液を使うようにしました。
少しでも房へ細菌が付着するリスクを減らせればと考えています。
※他のお薬散布に関する記事はこちらから
ベンレート水和剤の使い方|ブドウに500倍で散布した効果と注意点
家庭菜園のブドウ防除|オーソサイド水和剤80の使い方と800倍希釈・べと病対策を解説
家庭菜園のブドウ防除|サンボルドーの使い方と600倍希釈・散布方法を解説
実際の処理方法

今回は浸漬処理で行いました。
方法としては、
- 薬液を容器へ入れる
- 果穂を下向きにする
- 房全体を浸す
- 均一に付着させる
という流れです。
ここで特に意識したのが、
👉 「処理ムラを出さない」
という点です。
房先だけしか浸かっていなかったり、一部だけ薬液が不足すると、
- 粒揃い悪化
- 種残り
- 肥大差
につながることがあります。
そのため今回は、房全体へ均一に薬液が付着するよう丁寧に処理しました。

ジベレリン処理した後は、果穂に余分な薬液が付着しています。
そのため、
👉 軽くデコピンする
👉 果穂の軸を持って軽くフリフリする
などして、余分な薬液を落とすのがポイントです。
薬液が多く付着したまま乾燥すると、局所的に濃度が高くなり、薬害の原因になることがあります。
そのため、
👉 「しっかり付けるけど、余分な薬液は落とす」
この感覚がとても大切になります。
1回目ジベ処理を行った房
経験も浅く、適期を見極めるのは本当に難しいところですが、
👉 「すべての花が開花し、花冠がほぼ飛んだ状態」
を目安にしています。
シャインマスカットとクイーンセブンはほぼ同時期に満開となりましたので、1回目の作成した溶液で4日以内でジベレリン処理を行いました。





2026年5月18日時点で、ヌーベルローズとBKシードレスは満開ではなかったため、処理は施していません。


5月23日からBKシードレスとヌーベルローズで満開の房が確認できましたのでジベレリン処理を始めました。こちらの品種は2回目に作成した溶液で4日以内でジベレリン処理を行いました。

BKシードレスは花冠が外れにくい品種のため、無理に取り除こうとすると果粒まで外れてしまうことがあります。
そのため、無理はせず、取れる範囲で丁寧に花冠を取り除くようにしています。

ジベレリン溶液は「調製後4日以内に使用」というルールで管理しているため、まだ開花しきっていない果穂もありましたが、5月26日までに1回目のジベレリン処理を行いました。
3年間栽培してきた中で、BKシードレスは満開まで待ってから処理を行うと、花ふるいが激しくなりやすい傾向を感じています。
フルメットには着粒を安定させる効果があり、開花始め〜満開前でも使用可能とされています。
来年以降の課題にはなりますが、開花始めのタイミングで処理した場合の着粒状況についても検証してみたいと思っています。

ヌーベルローズについては、すべての果穂で満開後にジベレリン処理を行うことができました。
ジベ処理で難しいと感じること
実際にやっていて感じるのですが、
👉 ジベ処理は本当にタイミング判断が難しい
です。

同じ木でも、
- 開花が早い房
- 遅い房
が普通に混在します。

そのため今回は、
👉 「満開後、花冠がほぼ飛んだ房」
を基準に処理を進めました。
今年の目標は?
今年の目標は非常にシンプルです。
👉 “ガリッ”を減らすこと
たった一粒でも種があると、完成度はかなり変わります。
だからこそ今年は、
- アグレプト液剤処理
- 適期ジベ処理
- フルメット加用
を意識しながら進めています。
まだ栽培経験は浅く、毎年反省点ばかりですが、
👉 「去年より少し良くする」
を積み重ねながら、理想のぶどうへ近づけていきたいと思っています。
今後の管理
今後は、
- 着粒確認
- 房選び
- 2回目ジベレリン処理
- 病害管理
へ進んでいく予定です。
ここから先は、
- 雨
- 高温
- 湿度
も増えてくるため、防除との両立もかなり重要になってきます。
特に今年はアグレプト液剤も使用しているため、どこまで完全種無しへ近づけるのか、かなり楽しみにしています。
まとめ
今年は、
👉 開花前にアグレプト液剤処理
👉 開花期に1回目ジベレリン+フルメット加用
という流れで、シャインマスカットの無核化精度向上を狙っています。
アグレプト液剤は、
👉 「受精しにくい状態を作る」
ための事前処理。
そして今回のジベレリン処理(フルメット加用)は、
👉 「種無し果としてしっかり成長させる」
ための重要作業になります。
つまり今回は、
👉 “事前処理+適期ジベ処理”
を組み合わせた管理になります。
今年はこの方法で、どこまで理想のぶどうへ近づけるのか。
成功も失敗も含めて、今後の結果をしっかり記録していきたいと思います。
※1回目の果穂整形に関する記事はこちらから
1回目の果穂整形|家庭菜園で試している整形と長さの目安
※うちベジで栽培している品種はこちらで確認ができます。
【ぶどう栽培のはじまり】|子どもの頃の夢から始まったおうちぶどう栽培

