
2026年5月2日(晴れ)
5月に入り、気温と湿度が一気に上がってきました。この時期はブドウ栽培において非常に重要なタイミングであり、同時に病害リスクが急激に高まる時期でもあります。
わが家で育てている「ヌーベルローズ」と「クイーンセブン」の葉を観察していると、4月下旬ごろからどこか違和感のある症状が出始めていました。最初は気のせいかと思い、そのまま1週間ほど様子を見ていたのですが、次第に葉の一部が茶色く変色していきます。
「これはまずいな…」
そう感じた段階で、症状の出ている葉はすぐに切り取り、ビニル袋に入れて密閉し、そのまま処分しました。初期対応としては基本的なことですが、被害の拡大を防ぐうえではとても重要な作業です。
※うちベジの年間ブドウ防除スケジュールはこちらから
家庭菜園ブドウの防除暦|初心者でもできる年間病害虫対策
病害の原因を考察|ビニール屋根の落とし穴
今回の症状をよく観察してみると、発生している場所にははっきりとした共通点がありました。それは、ビニール屋根のつなぎ目の真下です。
通常であれば、ビニールに当たった雨水はそのまま流れ落ちていきます。しかし、わが家の設備は手作りのため、つなぎ目部分にわずかな段差があり、そこに水が溜まってしまっていました。そして、溜まった水があふれたときに、特定の葉に集中的に落ちる状態になっていたのです。
このように、
・水が滞留する
・あふれて同じ場所に落ちる
・葉が長時間濡れた状態になる
といった条件が重なることで、局所的に湿度が高まり、病原菌が繁殖しやすい環境ができていたと考えられます。
本来であれば5月初旬は予防中心で管理したかったところですが、今回はすでに症状が出てしまっているため、早急に対処することにしました。
発生した病害について|べと病の可能性が高い

今回の症状は断定まではできませんが、特徴から判断するとべと病の可能性が高いと考えています。

べと病は湿度が高い環境で発生しやすく、ブドウ栽培では特に注意が必要な病害です。葉の表面に油がにじんだような黄色い斑点(油染み状)が現れ、進行すると葉脈に沿って不規則に広がり、やがて褐色に枯れ込んでいきます。また、葉の裏側には白いカビが発生することもあります。

今回の葉も、初期には黄色っぽい変色が見られ、その後褐色に変化し、不整形に広がっていることから、症状とよく一致しています。
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家庭菜園ブドウの防除暦|初心者でもできる年間病害虫対策
オーソサイド水和剤80を選んだ理由

今回の防除に使用したのはオーソサイド水和剤80です。
この薬剤を選んだ理由は、幅広い病害に対応できること、そして薬害が比較的少なく家庭菜園でも扱いやすい点にあります。
ブドウにおいては、晩腐病・褐斑病・灰色かび病・べと病・芽枯病・黒とう病など、多くの病害に適用があります。
家庭菜園では使用できる薬剤が限られるため、このように汎用性の高い薬剤は非常に使い勝手が良いと感じています。
※他の殺菌剤の使い方はこちら
ベンレート水和剤の使い方|ブドウに500倍で散布した効果と注意点
オーソサイドは“治療剤ではない”という重要ポイント
ここは非常に重要なポイントです。
オーソサイド水和剤は、すでに発生している病気を治す薬ではありません。いわゆる保護殺菌剤であり、
・これ以上の感染拡大を防ぐ
・健全な部分を守る
という役割を持っています。
そのため、症状が出てから使用する場合は「治療」ではなく、進行を止める目的で使う薬剤という認識が必要です。
希釈倍率と薬液の作り方
今回は800倍希釈で、合計4Lの薬液を作成しました。
基本の目安は以下の通りです。
・1Lあたり:1.25g(付属スプーン1杯)
・4Lの場合:5g(スプーン4杯)
計量スプーンが付属しているため、家庭菜園でも簡単に調整できるのが助かります。
2Lでの作り方(実例)
今回は計量カップ2Lで作成しました。2Lでは足らないので、2回作りました。
容器に水を2L入れる

展着剤ダインを6滴(約0.18mL)加える

よく混ぜる。

オーソサイド水和剤80を2.5g(スプーン2杯)入れて、さらによく攪拌して完成です。

※オーソサイド水和剤の安全使用上の注意でも「展着剤を先に入れてから本剤を加える」手順が推奨されているため、この順番で作るのが安心です。
展着剤ダインを併用する理由
今回は薬剤の効果をより安定させるために、展着剤の「ダイン」を併用しました。
展着剤を加えることで、薬液が葉の表面に均一に広がりやすくなり、付着性や固着性が向上します。特にブドウの葉は水を弾きやすいため、展着剤の有無で効果に差が出ると感じています。
散布方法のポイント|丁寧さが効果を左右する

オーソサイド水和剤は浸透移行性がないため、薬液がかかった部分にしか効果がありません。つまり、散布の丁寧さがそのまま防除効果に直結します。

葉の表面だけでなく裏側までしっかりとかけ、枝の裏側も含めてムラなく全体に行き渡らせることが重要です。散布量の目安は、葉全体がしっかり濡れて滴り落ちる直前くらいが適量です。
※芽吹き前からの防除についてはこちら
ベンレート水和剤の使い方|ブドウに500倍で散布した効果と注意点
散布効率アップ|2頭口ノズルを導入

今回、新たに2頭口ノズルを導入しました。
これが想像以上に使いやすく、
・散布スピードが上がる
・薬液が均一にかかりやすい
・作業時間が短縮できる
といったメリットを強く感じました。
ブドウの本数や樹勢強く成長してくると散布作業の負担は一気に大きくなりますが、ノズルを見直すことで効率が大きく改善されます。家庭菜園でも、ある程度の規模になってきたら導入を検討する価値は十分にあると感じました。
散布条件にも注意する
散布するタイミングも重要です。
風の強い日や日中の高温時は避け、風の弱い朝夕の涼しい時間帯に行います。また、散布後すぐに雨が降ると薬剤が流れてしまうため、少なくとも半日以上は雨の降らない日を選ぶことが大切です。
今後の防除方針|薬剤ローテーションの重要性

今回オーソサイドを使用しましたが、今後は同じ薬剤に頼り続けるのではなく、薬剤ローテーションを意識していきます。
同じ系統の薬剤を繰り返し使用すると、病原菌がその薬剤に慣れてしまい、耐性を持つ可能性があります。その結果、防除効果が徐々に低下してしまうリスクがあります。
そのため、安定した防除を行うには、複数の薬剤をうまく使い分けることが重要です。
ここで意識したいのが、「商品名」ではなく主成分で考えることです。
オーソサイド水和剤80の主成分はキャプタン(80%)で、同じキャプタンを有効成分とする薬剤であれば、商品名が違っていても基本的には同じ系統の薬剤と考えられます。
実際に調べてみると、別の商品でも主成分が同じというケースは珍しくありません。そのため、商品名だけでローテーションを組んでしまうと、知らないうちに同じ系統の薬剤を使い続けてしまう可能性があります。
だからこそ、
👉 「主成分が何か」を確認したうえでローテーションを組むことが大切
になります。
今後は、保護殺菌剤だけでなく、作用性の異なる薬剤も組み合わせながら、より安定した防除を目指していきたいと考えています。
環境改善が最も重要
今回の経験を通して改めて感じたのは、「環境の重要性」です。
ビニールのつなぎ目に水が溜まり、それが特定の葉に落ち続けたことで、局所的に病害が発生しました。もし水の流れが適切に処理されていれば、今回の発生は防げた可能性が高いと思います。
薬剤による防除も大切ですが、それ以上に重要なのは病気が発生しにくい環境を整えることです。今後は設備の不備に気づいた段階で早めに修正し、ブドウにとって最適な環境づくりを意識していきます。
まとめ|5月の防除は“分かれ道”
今回の防除を通して得られた学びは大きく3つあります。
・環境の状態が病害の発生に直結する
・保護殺菌剤は早めの使用が重要
・散布の丁寧さが効果を左右する
これからは、雨・気温・湿度がそろい、目に見えない病原菌が一気に活性化していく時期に入ります。
だからこそ、「発生してから対応する」のではなく、発生させない管理が何よりも重要です。
引き続き、環境と防除の両面から管理を行いながら、ブドウ栽培を楽しんでいきたいと思います。
※年間の防除をまとめた記事はこちら
家庭菜園ブドウの防除暦|初心者でもできる年間病害虫対策
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ブドウの誘引のやり方|折らないためのコツと捻枝の注意点まとめ

